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少年は父の遺した宝物を探して旅にでる。ボクらが大好きな冒険活劇。
9.11がテーマなだけに、映画全体が悲劇的な雰囲気を持ってるのだけど、俺はこの映画をラピュタとかコナンとかと同じジャンルの「冒険活劇」として観た。

11歳のオスカー少年(トーマス・ホーン)はアスペルガー症候群というコミュニケーション障害を抱えていて、学校にも同年代の友達は居ない。そんな彼を父親(トム・ハンクス)は深く理解し、その高い知性を認め一人の男として難解な課題にチャレンジさせていた。「ニューヨークに昔存在した第6区を探しだせ」等の『探索調査ゲーム』は、「利口だけど、ちょっと不器用」な少年の心を少しずつ磨き上げ、父との確かな絆を育みつつ、ハンデを乗り越えながら成長していくはずだった。

けれど、父親は突然の同時爆破テロに巻き込まれ、 『探索調査ゲーム』は完遂することなく終わりを告げる。

父を喪ってから一年後、少年は遺品の中から一つの「鍵」を見つける。『black』と書かれた包みに入ったその鍵は、間違いなく何かを開ける鍵だった。少年は父の遺してくれた「何か」を見つけるために、ニューヨーク中の「ブラックさん」を訪ねる旅にでた。その数なんと400人以上・・・。

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この作品を一言で表現するなら、「悲劇」だろう。別れを告げる間のなく去っていった最愛の人、喪失感に耐える長い年月。理解者の不在。少年は正に不幸のどん底にいた。けれど、俺は不思議と同情的な気持ちが湧かず、むしろワクワクとした高揚感があった。それってつまり「冒険へのワクワク感」だった。当の少年は、ワクワク感なんて一切感じずに、何時まで経っても見つからない「宝物」を探す旅に焦燥感を募らせ、感情を抑えきれない自分に戸惑うばかりだったのだけど、それを観ている俺はワクワクしていた。

パズー少年と同じに見えた。『父の背を追い続ける少年』ってのは、いつだって俺達が大好きな「冒険活劇」のベッタベタなプロットだ。小細工も何も要らない、完成された大好物だ。苦悩しながらも持てる力を振り絞ってたった一つの「宝物」を探し続ける少年の姿ってのは、いつだって最高にカッコイイ。

だから当然この映画は「悲劇」であるけども、「成長」の物語。父の背中にタッチできた少年は必ず「成長」する。範馬刃牙だって辿り着いた境地だ。アレ酷い親父だけども。ただ、この少年に筋肉はない。多分体重30kgもない。でも、グレンラガンのシモンだって(アレは兄貴だけど)2クール目はムキムキになってたから期待は出来る。

観終わった後、ちょっと気になってネット上の評判を観た。
「9.11の悲惨さを伝えるいい映画だった!」
なんにもわかってねえ。9.11なんてどうでもいいんだよ。この「漢」から目を離すんじゃねえよ。「悲劇」とやらに目を暗ませるんじゃない。こいつがどんなにガリガリでも、コミュ障でも、アスペでも、一度親父の屍を乗り越えた息子は、例外なく「漢」になるんだよ。同情してんじゃねえよ。「精神的な成長」とか半端なオチで満足するんじゃない。この子は将来筋肉漢になるんだよ。もうその準備は出来た。自分の力でその「鍵穴」を見つけたひ弱な少年は、もう「ひ弱」でい続けることはできないんだ。もう戦いを始めたんだよ。

続編があるのであれば、是非この少年をエクスペンダブルズに加入させて欲しい。いい仕事をするはずさ。そう、ジェット・リーよりもね。